Songs of Stars②「やつらの足音のバラード」

SiriuSセカンドアルバム「星めぐりの歌」、12月23日の発売をひかえ、収録曲について僕なりに調べたり、勉強してみたことを徒然に書かせていただく「Songs of Stars」。

 

やつらの足音のバラード

作詞 園山俊二

作曲 かまやつひろし

園山俊二氏(1935~1993)は島根県松江市に生まれ、少年時代は松江城のお濠でよく遊び、図画の時間にはトンボやカブトムシをよく描いていたそうです。県立松江高校(田中の出身校)を卒業後状況して漫画家の道を歩みます。「やつらの足音のバラード」はそんな彼の作品「はじめ人間ギャートルズ」のエンディングテーマとして歌われました。

「ギャートルズ」の連載が週刊サンデーで始まったのが1965年。この連載のきっかけになったのは東西冷戦をテーマにした1962年の作品「国境の二人」でした。国境を守る違う国の二人の兵士をユーモラスに描いたこの作品。園山氏は以下のように語ります。

「人間の理想というものを歴史的に考えるならば、やはり世界は一つになるべきものだと思います。ただ、その際、どのような形態になる方が良いかということになると、いまの私にはよくわかりません。とにかく、現在の状態が正常なものではないということだけあ確かなことです。そこで、この異常な状態をテーマにして、お送りしましたような作品を書いてみました。」

鉄条網を挟んで、二人の兵士は原始人のような恰好をして、石斧を以て大笑いする絵で終わります。

音楽創作の歴史を顧みると1960年代はジョン・ケージをはじめとして実験音楽、前衛音楽の創作がなされ、そうした創作をした邦人作曲家たちも様々なやり方で新しい創作語法を模索した時代でした。20世紀初頭以降、ロマン派音楽を否定するかのように生まれた様々な音楽の「主義」の多様性もここにきて火花のように広がっていきます。

ジョン・ケージは禅にも興味を持ち、無音というものに着目しました。彼の有名な「4分33秒」は、演奏者が舞台上で何も音を発さない行為と、その空間に鳴り響く「音」を作品としてとらえる作品。まさに音と無について考えさせられます。

 

「なんにもない、なんにもない、まったくなんにもない」——無

 

園山氏の意識の中にあったか、定かではありませんが、混迷する世の中にたいして、国境も政治問題もなんにもない世界をユートピアとする園山氏の理想が込められてるのかもしれません。

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