田中俊太郎です。

声楽家(バリトン)として歌曲、オペラ、宗教作品、ミュージカル、合唱指導、声楽指導を専門のフィールドとして活動しております。
日本の歌の奥深さ、面白さを伝えてけるよう活動してまいります。

このホームページは、私自身の活動のお知らせや、ちょっとした勉強の成果発表の場として活用していこうと思っております。毎日更新!というような感じはなかなか難しいですが、たまにのぞきに来ていただけると嬉しいです。

FacebookTwitterInstagramも細々とやっています。

 

キャンディード---バーンスタインのメッセージ

1989年にバーンスタイン自身が指揮をした演奏会形式の《キャンディード》。序曲と第2幕の前にバーンスタインが観客に向けて語った内容をご紹介します。

序曲前

いやはや友人諸君、みなさんはこう思っているだろう。「また老教授の講義か」。手短に紹介だけをしておきたい。 演奏前に一言喋る気になったのは、30年いや正確には35年前にこう尋ねられたからだ。「なぜ《キャンディード》を音楽劇化するのかね」と。 質問に答えたい。作曲を担当した者としてだけでなく、皆さんと同じく歴史を見つめてきた者として。 その歴史も特に18世紀を中心として「啓蒙の時代」といわれた時代。ヴォルテールが生き、著作とと共に人々を啓蒙した時代だ。 代表作は薄っぺらいが、内容は手強い『カンディド』。劇作家のリリアン・ヘルマンと私は共同で音楽劇化を試みた。 原題は『カンディドーーーあるいは楽天主義説』であり、彼がその本で痛烈に皮肉った当時の主流思想が「楽天主義」。その思想を最初に捉え体系化したのがG・W・ライプニッツ。アレクサンダー・ポープがそれを広めた。ポープは『人間について』でこう書いている。「何であれ、今あることは正義である」。ライプニッツとポープの言うところによれば、創造主は善なるものである。最善なる創造主が作る世界は可能な限り最善の世界である。何であれ、今あることは正しいわけだ。 この世では確かに、罪なき者が殺され、罪人は罰されない。病気や死や貧困がある。だか、神の計画である全体像を見ることができれば、すべては最善であることがわかるとライプニッツは考えた。 ヴォルテールは当然そんな思想はおかしいと考えた。特に1755年のある日、ポルトガルのリスボンが大震災で全壊し、無数の人々がガレキに埋められ、生きたまま火に包まれた。全滅だ。 ヴォルテールは言う「ライプニッツが正しいのなら、神々は嬉々として殺虫剤を撒き散らし、何百万の蚊を殺していることになる」。リスボンの不幸を見かねたヴォルテールは、カンディドを書き、あらゆる既成の権力を痛罵した。王室、軍人、商人を揶揄し、とりわけ異教徒を火刑にする教会権力を痛烈に皮肉った。神への供儀の火刑だった。 ヴォルテールは言う「宗派宗教は常に争いを煽動し続け、楽天主義を信じさせる。楽天主義は諦観と無気力を生み出し、変化し、進歩し、不正に対抗する人間の力を抑制し、よりよい世界の実現に寄与するものの創造を禁じるのだ。」 皆さんが退屈している講義の下調べをする途中で私は、ヴォルテールの“イズム”を簡潔にまとめた文章を発見した。 以下引用 「ヴォルテールは折衷主義者。彼が統合したのは克己主義と快楽主義と懐疑主義である」 それでは序曲を‼︎

第2幕前

正義にして善。すべては正しく善である。また老教授の講義になるが、それは本当だろうか?
悪の兆しは何処にもある。天災や予期せぬ惨事は別にするとしても、われわれ人間が故意にする悪事はどこにでも見られるではないか。「考えられる限り最善」のこの世界の随所に。
最悪なのはリリアン・ヘルマンがテーマに選び、音楽劇によって訴えたかったもの、今では記憶に薄れつつある悪夢”マッカーシズム”という愚行だ。
第1幕で見たスペインの宗教裁判そっくりの”イズム”。血も凍る恐怖。
それはわれわれの世紀の50年代の初期のことだった。リスボンの事件からちょうど200年後のことだ。アメリカを代表するすべての良き文化が弾圧された時代。
弾圧者はウィスコンシン州出身の上院議員。ジョセフ・マッカーシーとその手下どもだった。ハリウッドも狙われた。諸君が生まれる前の話だ。
映画人のブラックリスト、テレビ番組の検閲、失業と自殺と国外追放の時代。共産主義者の疑いがある人物を知っているだけで旅券発行停止。私も自国の政府から旅券発行を拒否された。
ヴォルテールも同じように旅券発行を拒否されている。彼の返答は風刺とあざけりだった。笑いを通じて読者が得たのは自己認識と自己を主張する精神。その精神から議論が生じる。議論や論争こそ、つまりは民主主義のいしずえなのだ。
だからリリアンと私は原作の辛辣な機知と知恵に魅了され、作詞家のJ・ラトゥーシを誘い音楽劇化の作業に着手した。第1幕の梅毒の歌を書いた奇才だ。
もう1曲の梅毒の歌でやや誇張した詩を書いた男はこれもすぐれた作詞家のR・ウィルバー。亡くなったが合衆国の桂冠詩人だった。その2人以外にも大勢の詩人が改訂に次ぐ改訂の面倒な作詞作業に貢献している。
たとえばH・プリンス、S・ソンドハイム、J・マルチェアリ、J・ミラー博士、わたしも書いているがそろそろパングロスの名調子に譲りたい。

2021.2.17 BSS山陰放送「なまラテ」出演

先日2月17日、BSS山陰放送「なまラテ」に出演させていただきました。

今回で3回目の出演で月一順レギュラーの次に出演回数が多いとのこと。

山陰地方の産業、今の魅力を一歩踏み込んで発信されるこの番組。パーソナリティの中島早也佳さん、宇田川修一さん、藤井美音さん、皆さんの明るく楽しいキャラクターも大好きです。

これまでリモート出演でしたが、いつかスタジオにお邪魔させていただけたら最高です。

https://www.bss.jp/namarate/

2021.3.13 ハミングホール開館20周年記念 バーンスタイン《キャンディード》

ハミングホール開館20周年記念 バーンスタイン《キャンディード》にパングロス役で出演致します。

原作者ヴォルテールが批判しようとしたのは、ライプニッツの唱える楽天主義。その楽天主義を体現したのが私が演じるパングロス博士です。

「今あることは全て正義である」とパングロスは説きます。

ではなぜ、この世では罪なき者が殺され、罪人は罰せられないのか??

楽天主義は諦観と無気力を生み出すのではないのか??

王室、軍人、商人、教会権力を痛烈に皮肉ったヴォルテール。

オペラともミュージカルとも捉えられる独特なスタイルのこの作品。

オペレッタ、ジングシュピール、ヴォードヴィル、レビュー…オペラとミュージカルの間にある芸術に共通するのは痛烈な批判精神です。

バーンスタインの音楽と共に、この作品を作り上げることがとても楽しみです。

 

バーンスタイン「キャンディード」(コンサート形式)
2021年3月13日(土)
開場14:00 開演15:00 大ホール
〈全席指定〉一般:7,000円 友の会:6,500円
※未就学児入場不可

[音楽]L.バーンスタイン
[演出]田尾下哲
[指揮]横山奏
[出演]
大田翔(キャンディード)
田中俊太郎(パングロス)
鈴木玲奈(クネゴンデ)
成田伊美(オールドレディ)
今井学(マキシミリアン) ほか
[朗読]石川界人(声優)
[管弦楽]東京21世紀管弦楽団

主催:東大和市民会館ハミングホール

 

チケット情報はこちらまで。

 

2021.2.13 KHC第3回演奏会 J.S.Bach《ヨハネ受難曲》終演

KHC第3回演奏会 J.S.Bach《ヨハネ受難曲》終演いたしました。
コロナの影響により延期の末、最善を尽くし公演を迎えることができたこの演奏会。合唱団の皆様の熱意、ご来場の皆様のご理解…今ホールで音楽を奏でることの幸せに浸る時間でした。
合唱から声楽の道に入った人間の一人として、今回の演奏会に関わらせて頂けたことに万感の思いです。
ポジティブに、愛をもってこの合唱団に関わられている全ての皆様に尊敬の念をもって帰途につきました。
またこの作品とご縁があるよう、精進精進。

2021.2.6 中日新聞「分断を越える人の絆 藤原歌劇団 原点の『ラ・ボエーム』上演」コメント掲載

本日の中日新聞に、大学院時代に勉強した作曲家、江文也(こうぶんや)についてコメントさせて頂いた記事が掲載されています。

台湾出身の江は東京音楽学校選科で学んだ後、声楽、作曲ともに音楽コンクール(日本音楽コンクールの前身)で入賞、声楽家、作曲家として活躍しました。
江が関わったのが藤原義江率いる藤原歌劇団の第一回公演プッチーニ作曲《ラ・ボエーム》でした。この時江が演じたのは音楽家ショナール。
スコットランドの血を汲む藤原義江と、台湾出身の江文也。共に日本の楽団の周縁にいながら音楽活動に情熱を燃やしました。
とても熱い時代、熱いボエームだったと思います。

本日観劇は果たせませんでしたが、1934年の日比谷公会堂と、2021年今この瞬間愛知県芸術劇場で繰り広げているボヘミアンたちの物語に想いを寄せつつ。

https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/000322.html

2021.2.14〜28(配信期間) KY OPERA AIRドニゼッティ『愛の妙薬』ハイライト・配信公演

KY OPERA AIR
ドニゼッティ『愛の妙薬』
ハイライト・配信公演 に出演いたします!!

【日時】
2021年2月14日(日)15時より オンライン配信
2021年2月28日(日)まで視聴可能

【キャスト】
アディーナ / 高橋 維(たかはし ゆい)
ネモリーノ・進行/ 山本 耕平(やまもと こうへい)
ベルコーレ / 田中 俊太郎(たなか しゅんたろう)
ドゥルカマーラ / 後藤春馬(ごとう かずま)
ピアノ / 矢崎 貴子(やざき たかこ)

【配信】
演奏部分は事前収録を行い、解説・トーク部分は生放送でお送りします。
生放送終了後、見逃し配信が可能になるまでは2時間ほどご視聴頂けない
時間帯が出来る可能性があります。

【チケット】
・一般チケット 3000円(税抜)
https://ticket.tsuku2.jp/eventsDetail.php?ecd=21172052000112

・サポーターズチケット 7000円(税抜)
KYシリーズの運営を応援するよ!という方向けの特別視聴チケットです。
ご購入頂いた方には後日当公演の簡易記録ディスクをお送りします。
https://ticket.tsuku2.jp/eventsDetail.php?ecd=41002051221171

・学生・同業者・研修生向けチケット 500円(税込)
このチケットは、身分証等チェックしたりはしない自己申告制となっております。
チケット代は私達へのエール代(ビール代!?)としてぜひカンパしてください!
https://ticket.tsuku2.jp/eventsDetail.php?ecd=41002051221171

【ご購入後の流れ】
公演の1時間前を目安に、ご購入ページから登録頂いたメールアドレスに
視聴URLをお送りする予定です。

みなさまのご来場(ご視聴)心よりお待ちしております!

PRページ(山本耕平ブログ)
https://ameblo.jp/yamamotokohei-blog/entry-12649813526.html

ーーーーーーーーーーーー
SNS用
ドニゼッティ『愛の妙薬』の抜粋&オンライン公演
2月14日(日)15時から。ぜひご予定ください!

https://ameblo.jp/yamamotokohei-blog/entry-12649813526.html

2020.1.24  J:COM浦安音楽ホール ニューイヤーコンサート オペラ「カルメン」ハイライト

1月24日(14時開演)J:COM浦安音楽ホール ニューイヤーコンサート オペラ「カルメン」ハイライトに出演致します。
ソプラノ鈴木玲奈さん、メゾ・ソプラノ高野百合絵さん、ピアノ高田絢子 さん、そして演出の#田尾下哲 さんと共に、稽古に励んでいます。

私演じるエスカミーリョはナヴィゲーターとして、皆様をカルメンの世界へとお連れします。


第一部にはオペラアリア、重唱、 SiriuSのアルバム収録曲もお届けします。
フレッシュなメンバーによる、エネルギッシュなステージ。是非とも聴きにいらしてください!!!

2021年1月24日(日)

14:00開演(13:30開場)

J:COM浦安音楽ホール コンサートホール

出演

鈴木玲奈(ソプラノ)

高野百合絵(メゾ・ソプラノ)

SiriuS シリウス

大田翔(テノール)、田中俊太郎(バリトン) 

髙田絢子(ピアノ) 

演出: 田尾下哲

公演・イベント案内

【「田中俊太郎バリトンリサイタル The Story of Janapene Songs」中止のお知らせ】

2021年2月4日19時よりサルビアホール音楽ホールにて予定しておりました「田中俊太郎バリトンリサイタル The Story of Japanese Songs」ですが、緊急事態宣言期間中のサルビアホール施設利用ガイドラインの変更に伴い、中止を決定させていただきます。

ご来場をご予定いただき、楽しみにしていただいておりました皆様には大変ご迷惑をおかけしますことを心よりお詫び申し上げます。何卒、ご容赦賜りますようお願い申し上げます。

予定しておりました「The Story of Japanese Songs」のシリーズは、Web上での配信や、安心してご来場いただける状況になりましたら改めて公演の企画を検討して参りたいと考えております。

何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

田中俊太郎

Songs of Stars⑥ 銀河鉄道999

銀河鉄道999

作詞 奈良橋陽子(英語) 山川啓介(日本語)

作曲 タケカワユキヒデ

編曲 ミッキー吉野

 

1979年にゴダイゴがリリースしたシングル。

ゴダイゴさんの楽曲は、最初に英語の歌詞に曲をつけ、その後に日本語の歌詞をつけるという創作をされているそうで、この楽曲も奈良橋陽子さんの英語歌詞バージョンが原作です。

奈良橋さんは外交官の父を持ち、5歳から16歳までをカナダで過ごしました。女優を目指した奈良橋さんは大学卒業後、ニューヨークの名門俳優養成学校「ネイバーフッド・プレイハウス」で学びます。帰国後は演劇を通じて英語を学ぶ英会話教室を設立されました。渡辺謙さんのほかにも、真田広之さん、桃井かおりさん、役所広司さん、菊地凛子さんと、ハリウッドと日本のパイプ役を果たします。『ラストサムライ』の渡辺謙さんのキャスティングにも関わられました。(トム・クルーズさんには日本語を指導されたそうです)

そうした奈良橋さんは、1970年代、デビュー前のタケカワユキヒデさんの書いた英語を直すところからはじまり、やがて英語の歌詞をいちから手掛けるようになったそうです。

ゴダイゴのメンバーのタケカワユキヒデさんの母方の大叔父様にスズキ・メソードで有名な鈴木鎮一さん、父にベートヴェン研究家の武川寛海さんを持つ音楽一家に生まれ、東京外国語大学の英米語学科を卒業されたそうです。また、バークレー音楽院を卒業されたミッキー吉野さんはじめ他のメンバーの方々も日本と欧米の文化をつなぐ方々ばかりです。

作詞家、楽曲、ミュージシャンを通じて英語圏の文化が翻訳され、まったく新しいJ-Popを生産していく。そのようなワクワク感がゴダイゴの楽曲にはあるのだと思います。

Songs of Stars⑤ Lost in the Stars

Lost in the stars

原作 Alan Paton(アラン・ペイトン)

台本 Maxwell Anderson (マクスウェル・アンダーソン)

作曲 Kurt Weill(クルト・ヴァイル)

 

1949年に発表されたミュージカル《Lost in the stars》の中の一曲。

【あらすじ】

舞台は南アフリカ。

片田舎ドチェニ村の黒人牧師スティーブン・クマロは、ヨハネスブルクで消息不明になったしまった息子アブサロムと、娼婦に落ちてしまった妹のガートルードに会いに一人汽車でヨハネスブルクへ向います。道中、停車場でドチェニ村の白人大農園主ジェイムス・ジャービスと、ヨハネスブルクで黒人の権利を守る進歩的な立場をとっている息子のアーサー・ジャーヴィスに出会うのですが、クマロに対して親しげに挨拶する息子アーサーを見て、人種的偏見をもつジェイムスは不快感を露わにします。

ヨハネスブルクに着いたクマロは妹ガートルードの息子を引きとりはするものの、息子アブサロムを見つけることはできずに帰途に就きます。

 

場面変わって、ヨハネスブルクの裏町の地下酒場。

クマロの息子アブサロムと仲間たちは強盗の相談の結果、皮肉にも黒人の権利保護の立場をとる弁護士アーサー・シャーヴィスに目を付けます。アブサロムはアーサーを射殺し、投獄されてしまいます。

この曲《Lost in the stars》は、殺人を犯した息子アブサロムを牢獄にみつけたクマロ牧師の歌。

死刑判決を受けたアブサロムに恩赦が下る希望を託し、クマロは農場主ジェイムスを訪ねますが、正義の報いだとして拒否されます。スティーブンは、死刑判決を受けた息子の恋人イリーナを訪ね、死ぬ前に息子アブサロムと結婚することに同意させ、自らは息子の事件のために聖職を離れると決意します。

アブサロムが処刑される夜、クマロの決意をみて少しずつ心を動かされていたシャーヴィスは処刑される息子を思って苦しむクマロを慰めるために訪れ、ふたりの人種的な垣根を超えた和解の握手によって幕が下ります。

 

 

ヴァイルはこの作品を「ミュージカル悲劇」と位置けました。アラン・ペイトンの原作ではこの作品のような和解はないのですが、ここでは救いを以て劇が締められます。

原作者、アラン・ペイトン(1903~1988)は南アフリカのディエクルーフ感化院の院長をつとめ、犯罪をおかしたアフリカ少年たちのために働きました。そこで改革を行い、厳しい刑務所のような施設を温かい学校へと変貌させました。彼の著作に聖フランチェスコの祈りを解説したものがあります。

憎しみのあるところに愛を

絶望のあるところに希望を

闇のおおうところに光を

そうしたメッセージがこのナンバーにも込められているように思います。