BEL CANTO meets JAZZ~Giannicola Pigliucci & Alberto Rabagliati

もう何年も前になりますが、東京藝術大学声楽科に入学し最初に声楽を師事したのはジャンニコラ・ピリウッチ(Giannicola Pigliucci)先生でした。先生はサンタチェチーリア音楽院を卒業後、スポレートでのコンクールで優勝し、ローマやナポリの劇場やスカラ座で活躍し、ロリン・マゼール、クラウディオ・アバド、ゲルギエフなどの指揮者や、デル・モナコ、パヴァロッティ、ヴィッカーズなどの歌手たちと共演されてきました。先生の歌
ピリウッチ先生のクラスでは徹底して発声を磨いていました。オペラ界で活躍されている森雅史さん、今井俊輔さん、城宏憲さんらは皆このクラスの先輩です。

続きを読む →

豊丘村と伊那節

本日は長野県豊丘村に嫁いだ芸大同期の田中暁子さんのお誘いで、豊丘村でのコンサートに出演しました。 長野県へは、修士での研究演奏として取り上げた江文也(こう ぶんや)の調査のために上田市に、またサイトウキネンフェスティバル出演のために松本市を訪れたことがありましたが、豊丘村もまた山に囲まれ、天竜川の流れもたくましく、最高の場所でした。 出雲平野で生まれ育った自分にとって、山に囲まれた土地にはどこか懐かしい気持ちを持ちます。今回の演奏会で、天竜川の流れを横にアンコール曲として清瀬保二《信濃民六曲》から〈伊那節〉を演奏させて頂けたことはとてもに嬉しかったです。続きを読む →

「東京ディズニーランド®︎35周年”Happiest Celebration!”イン・コンサート」大宮公演終了!!

全国をツアーしてきましたこのコンサートも本日6月30日で大宮公演を終え、残すところは8月10日、11日の東京公演のみとなりました。

最高にハッピーなcelebrationを、最高にハッピーな仲間たちと最高にハッピーなお客様と盛り上げることができて、最高にハッピーです!

この公演を通じて本当に素晴らしい出会いもありました。感謝の気持ちを胸に東京公演に向けて色々と磨いていきたいと思います。

東京公演も大盛り上がり間違いなし!!お待ちしています。

公演情報はコチラ!!

続きを読む →

6/2 KIOI CONCERT IN ROSE WEEK

明日6/2、東京ガーデンテラス紀尾井町、紀尾井タワー1Fオフィスエントランスで演奏いたします。

薔薇がテーマということで、薔薇にちなんだ作品を探した結果、プログラムはオールRichard Strauss!!

改めてシュトラウス歌曲における薔薇の出現率に驚愕しました。

私はHeimliche Aufforderung(ひそやかな誘い)とピアニストをつとめる圓谷俊貴さん編曲のシュトラウス歌曲を3人の歌い手と共に四重唱で演奏します!

戦後、既にブーレーズ、シュトックハウゼン、ノーノ、ケージといった作曲家が現れた時期に書かれた《四つの最後の歌》(1948)でも後期ロマン的な作風を突き通したシュトラウス。

音楽史的には前衛音楽の萌芽期であるこの時代においても聴衆からの人気は絶大だったようです。

続きを読む →

Brian Chapple

私が指揮をしているBridge Ensemble Tokyoでは今、イギリスの作曲家Brian Chappleの “Messa Brevis Exoniensis” を練習しています。ブライアン・チャプルについては邦語による情報が少ないので、ホームページ「Music Sales Classical」からBrian ChappleのShort Biography拙訳をご紹介したいと思います。拙い英語力から誤訳の可能性もございますので、何卒ご容赦願います。

ブライアン・チャプルは1945年生まれ。英国王立音楽院で学び、レノックス・バークリー(※1)に作曲、ハリー・アイザックスにピアノを師事した。1972年、《オーケストラのためのグリーン・アンド・プレザント》でBBC Monarchy 1000 Prizeを受賞し、ノーマン・デル・マー(※2)によってバースで初演され、1976年エルガー・ハワース(※3)が指揮するロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団によってパリでも演奏された。1976年のPromsで初演された《四つのピアノのためのスケルツォ》でも成功をおさめ、この作品はサンデー・タイムズ紙で「素晴らしく即興的で、大胆なコラージュ作品」と評された。

その後、数々のオーケストラや演奏団体と契約を結び、《Venus fly trap(ハエトリグサ)》がロンドン・シンフォニエッタに、《小交響曲》(1982)がロンドン・モーツァルト・プレイヤーに、《ジェレミアの嘆き》(1984)がBBCシンガーズに、《イン・メモリアム》(1989)がニュー・ロンドン・オーケストラによって初演された。

《Venus fly trap(ハエトリグサ)》は「とても悪賢く面白いスケルツォ」(『ミュージカル・タイムズ』紙)と評され、《イン・メモリアム》は「荘厳でありながら気分を高められる…深く感動的な記念碑的作品」(『ミュージカル・オピニオン』紙)と評された。

その他にも、ハイゲート合唱協会(Highgate Choral Society)の委嘱によって《カンティカ》(1978)と《マニフィカト》(1987)(「イマジネイティブでわくわくする」—『ミュージカル・オピニオン』紙)を作曲。また、1996年、セントポール大聖堂合唱隊によって、《ミサ・ブレビス》《見よ、キリストの十字架》《三位一体コミッション》が礼拝の中で初演された。

作品にはジャズとスウィングからの影響もみられ、《2台ピアノのためのバーレスク》《エボニーとアイボリー》《ピアノ協奏曲》などの作品は1979年グラスゴーにおける現代音楽祭「ムジカ・ノヴァ」で初演された。

CD音源としては、2008年1月にDivne Art labelから発表された、アンソニー・ゴールドストーン(※4)とキャロライン・クレモウによるピアノ作品集がある。このCDにはピアノ・デュオのための《バーレスク》(2005)、《ピアノ・ソナタ》(1986)、《バガテル集》(2005)、《レクイエム》(1991)、《A Bit of a Blow》(2005)が収録されている。

最近の作品では、オーケストラ作品として3つの宗教的な作品と3つの受難節のモテットがある。《ミサ・ブレヴィス》はアンドリュー・ミリントンとエクセター教会聖歌隊のために書かれ、2009年に初演された。

2016年、チャプルの《詩篇23》はウェルズ大聖堂における音楽祭new music wellsで初演された。

2011年、著名なオルガニスト、マーガレット・フィリップスにより《6つのバガテル》が初演され、同作品は2014年、レジェント・レコードからリリースされた。2012年、当時チャプルが招聘作曲家を務めていたエクソン・シンガーズ(※5)によってバックファースト修道院から《Safe where I cannot lie yet(私がまだ横たわることができない安全な場所)》が放送された。

チェスター・ミュージックは、チャプルの《Lazy Days, In The Pink》と《On The Cool Side : Swing’s The Thin》《Home and Dry》(2013)のピアノ曲を新たに出版部リストに加えた。

※1) Lennox Berkeley(1903-1989)オクスフォード大学マートンカレッジに学び、1927年パリに留学し、ナディア・ブーランジェに師事した。パリ時代にはプーランク、ミヨー、ルーセル、オネゲル、ストラヴィンスキーと交流をもった。1946年から1968年まで王立音楽アカデミーで教鞭をとり、ベンジャミン・ブリテンとも親交をもった。

※2)Norman René Del Mar(1919-1994)イギリスの指揮者、音楽学者。ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団に入団し、1947年に指揮者デビューを果たす。エルガー、ヴォーン・ウィリアムス、ブリテンなどを得意とする。音楽学者としてはリヒャルト・シュトラウスの権威。

※3)Elgar Howarth(1935-)イギリスの指揮者、作曲家、トランペット奏者。マンチェスター王立音楽院とマンチェスター大学の卒業生でなる「マンチェスター楽派」の一人。同楽派はポリテンポを多様する一方でトータル・セリエリズムからの影響は弱いとされる。作曲家なかにしあまねは同楽派のバードウィッスルに師事した。

※4)Anthony Goldstone イギリス出身のピアノ奏者。マンチェスター王立音楽院でデリック・ウィンドハムに師事し、マリア・クルチオの薫陶を受けた。Musicians of the Royal Exchangeを立ち上げ、夫人のキャロライン・クレモウとのピアノ・デュオをはじめとする室内楽の分野で活動した。

※5)1966年に創立された、ルネサンスから現代まで幅広いレパートリーを持つ合唱団。

Bridge Ensemble Tokyoは、随時団員募集しております。

お問い合わせは、当団ホームページかこちらまで!

11人のシンガー 「東京ディズニーランド®︎35周年”Happiest Celebration!”イン・コンサート」

市川、福岡、広島、名古屋、宮城の5公演を無事終えました。

稽古期間はとても長く感じましたが、いざ本番のツアーが始まると、ここまであっという間に感じます。

静岡・大阪公演では綿引さやかさんに代わりMARIA-Eさんが登場します。MARIA-Eさんの出演は静岡と大阪での3公演ですが、ずっと一緒にこの舞台を創ってきました。本番直前の稽古では、出演者の立場でありながら客観的に見てくれる彼女の存在がとても大きかったです。

ここからの公演も、シンガーは11人、心を一つに最高にハッピーなセレブレーションを歌って踊ってまいります!!

公演情報はこちら

 

「東京ディズニーランド®︎35周年”Happiest Celebration!”イン・コンサート」市川公演終演

開場を埋め尽くすゲストの皆様のエネルギーを力に無事初日を終えました。

改めて東京ディズニーリゾート、ディズニー・ミュージックが沢山の皆様の夢や希望と共にあることを実感しました。

ここから

5/3 福岡

5/4 広島

5/9 愛知

5/12 宮城

5/25 静岡

5/26・27 大阪

6/10 宇都宮

6/22 北海道

6/30 埼玉

8/10・11 東京

と公演が続きます。

夢を追うのに大切な力=想像力

大人になってキャストとしてこの公演に関らせて頂きながら、ディズニーから教えてもらっているような気がします。

是非、会場でHappiestなひとときをご一緒しましょう!!!

公演情報はこちら

「東京ディズニーランド®︎35周年”Happiest Celebration!”イン・コンサート」初日!!(4月28日)

出演情報です!!

東京ディズニーランド®︎35周年”Happiest Celebration!”イン・コンサート

学位審査を終えて間も無くの時期から今日まで長ーい時間、稽古を共にして来たキャスト、演出、スタッフの皆さんと、初日の市川市文化会館に入りました。

クラシックのコンサートでは経験できないステキな照明、舞台セット、そしてクラシックのコンサート顔負けのオーケストラサウンド。

たくさんの皆様の思い出と共にあるディズニーランドの名曲たちを、大好きなキャストメンバー、オーケストラ、演出、スタッフ全員で全力でお届けします!!

夏まで続くコンサートの幕開け。ドキドキです。

4月28日、市川公演のチケットが時間限定でまだ手に入ります!!是非皆さまのご来場をお待ちしています。

「東京ディズニーランド®︎35周年”Happiest Celebration!”イン・コンサート」好評につき、機材席開放!

■イープラス当日引換受付

受付期間 2018/04/26(木)18:00〜2018/04/27(金)17:00

受付URLhttp://eplus.jp/tdr35th-ichikawa/

※クレジット決済のみの受付となります。

※予定枚数になり次第、受付を終了致します。

学位授与式

本日、東京芸術大学大学院音楽研究科博士後期課程の学位授与式があり、博士(音楽)の学位を得ることができました。

音楽を志す前から、知りたい、学びたいという欲求を120%満たしてくれ、手を伸ばせばいつでも新しい真理に触れられる大学という場に憧れを抱いていました。そういうこともあり、博士課程への進学は夢の一つでした。こうした場で時間を過ごすチャンスを与えてくれた家族や、不出来な生徒を最後まで指導して下さった先生方には、今の僕がどれだけ感謝をしたところで、ご恩に報いきることはできません。

本日、私がいただいた学位は「音楽」です(「音楽学」ではなく)。演奏科の博士号である以上、演奏と研究の両立が求められます。そしてこれに心の底から悩みました。

演奏と研究は、水と油、相容れないものだと思います。心震える芸術体験に、学究的な物事を思考する余地はありません。

ならば、なぜ演奏科の学生が大学で研究するのか---

正直申し上げて、その答えを見出すことはできませんでした。迷って、悩んで、んーー(考える人ポーズ)、という感じで博士課程を終えました。

それでも、今日の日を迎えて、これまでの時間は有益だったと思いました。ここにいなければ、悩むことなくまっすぐに突き進んでいたかもしれません。

ロダンの大作《地獄の門》の上の方に、通称「考える人」像があります。ロダンは、ダンテの『神曲』等をモチーフとしてこの作品を制作しました。この大作中では本来、「考える人」は何かを考えているというより、目下の地獄を覗き込んでいるそうです。いわば「見る人」です。ロダンは後にこの像を《地獄の門》から切り離して単独で《詩人》と題して発表しました。ロダンはこの像を《詩想を練るダンテ》とも呼んでいたそうです。

この像は、《地獄の門》の作品中、地獄から一つ隔たれた場所にいます。ロダンは、想像の中の地獄から詩を紡ぎだそうと試行錯誤するダンテの姿を現そうとしたのかもしれません。

何かを見つめて、んーー、と考え込むこと。そしてその時間。これは何かを産み出す一歩手前なのだと思います。

駅を降りれば「考える人」像が出迎えてくれた上野の地を学び舎とする生活を終え、ここから新しいスタート。素晴らしい音楽や舞台に沢山触れていけるよう、邁進していきたいと思います。

Suo Gân(ウェールズの子守唄)

お陰様でチケットはsold outしておりますが、明日のコンサートで演奏させて頂きますウェールズ民謡“Suo Gân”をご紹介させて頂きます。

ウェールズはグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の四つの国(Country)のうちの一つで、グレートブリテン島の南西部に位置します。ケルト系民族ブリトン人が住んでいる国で、ケルト系民族がこの地に移り住んだのは紀元前数世紀にさかのぼります。ローマ帝国時代には支配を受け、5世紀からはアングロ・サクソン族との戦いが続き、ブリトン人たちはスコットランドやウェールズへと追いやられました。イングランド王国との戦いが続くと同時に、中世には小さな部族国家が乱立し勢力争いをしました。13世紀にはウェールズ公国が成立し、15世紀の薔薇戦争ではウェールズのリッチモンド伯が勝利し、ヘンリー7世としてイングランド王の座を得てテューダー朝時代を築きました。

かの「アーサー王物語」はアングロ・サクソン族と戦ったブリトン人の王の物語といわれています。

最近、ジョージR.R.マーティンの『氷と炎の歌 (A Song of Ice and Fire)』を原作としたアメリカのテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)』にはまっていますが、中世ヨーロッパの世界観をもつこのドラマからも沢山の国が乱立して勢力争いをするウェールズの歴史への想像力を掻き立てられます。

“Suo Gân”はウェールズの子守唄でウェールズ語で歌われます。ウェールズ語はケルト語系に属していて、独特の語感を持っています。

chは喉びこを震わせる音で、rは強めの巻き舌。声楽をしている私にはドイツ語の語感が思い起こされます。

この曲は1987年にスティーブン・スピルバーグ監督の映画『太陽の帝国(Empire of the Sun)』に登場します。日本軍の零戦に憧れるイギリス人少年が歌う“Suo Gân”と、日本兵が歌う信時潔《海ゆかば》がコラボレーションする名シーンが印象的です。

若者たちの命を震わせた《海ゆかば》の旋律も、こうして聞くと懐かしさや哀愁すら感じさせます。ウェールズの子守唄から、改めて日本の旋律、信時潔の音楽の本質を改めて考えさせられました。