豊丘村と伊那節

本日は長野県豊丘村に嫁いだ芸大同期の田中暁子さんのお誘いで、豊丘村でのコンサートに出演しました。 長野県へは、修士での研究演奏として取り上げた江文也(こう ぶんや)の調査のために上田市に、またサイトウキネンフェスティバル出演のために松本市を訪れたことがありましたが、豊丘村もまた山に囲まれ、天竜川の流れもたくましく、最高の場所でした。 出雲平野で生まれ育った自分にとって、山に囲まれた土地にはどこか懐かしい気持ちを持ちます。今回の演奏会で、天竜川の流れを横にアンコール曲として清瀬保二《信濃民六曲》から〈伊那節〉を演奏させて頂けたことはとてもに嬉しかったです。清瀬保二は、戦前は松平頼則、江文也らと同じく新興作曲家連盟の一員として活動し、戦後は戦中期の遅れを取り戻すべく早坂文雄、松平らと新作曲派協会を結成して活動しました。新作曲派協会では戦中期の行き過ぎたモダニズムを反省し、叙情的な作風をもつアレクサンドル・タンスマンや音楽に信仰や人間的な表現を求めたオリヴィエ・メシアンの音楽などから影響を受けつつ戦後第1期の創作を展開していきました。若かりし武満徹も新作曲派協会の作品発表会で新作を披露し、清瀬とも深い関わりを持ちました。チェレプニン・コレクションとして日本、中国、欧米各国で出版された《信濃民六曲》は、1929年作曲で清瀬29歳の時の作品。楽曲としてはまだまだ彼の作風を体現しているとはいえないかもしれませんが、若かりし作曲家が自らの創作を求めて模索をする様子に思いを馳せながら演奏していきたい作品です。今晩のご褒美は飯田の地酒、喜久水を木曽ひのきの升で。豊丘村はこれからは林檎や桃がおいしい季節なのだそうです。夏は花火、秋は松茸….音楽に理解があり暖かく素敵な地元の皆さま方。。また来たいです!! 天竜下ればしぶきに濡れる持たせやりたや 檜傘天竜峡駅ちかくの天竜堂さんでランチ飛べました!

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