ご来場いただいた皆様、また島根県会館、隠岐島文化会館でご協力いただいたスタッフの皆さまに支えられ、無事終演致しました。
オペラは日本人の日常からは少し距離のあるもので、多くの歌手たちがそれを身近に感じてもらおうという趣旨の公演を企画しています。私もこれまで、何度かそのような公演に関わらせていただいてきましたが、うまくいく時もあれば、うまくいかない時もあります。
何を以て「うまくいった」と思えるかははっきりと言葉にできないのですが、今回の公演はうまくいったと実感できるものでした。
それは、終演後のお客様の顔、また共演者の顔、そして自分自身の感覚から漠然と感じます。
何を以てみんなの笑顔が生まれるのか、これということは言えませんが、退屈になりがちなオペラ公演も多い中、うまくいったと思える今回の公演を振り返り、備忘録としてまとめておきたいと思います。読んでいただく方には、煩雑な内容になり恐縮ですが、あくまで備忘録としてまとまりのない箇条書きをお許しいただければと思います。
・今回、初めてスタッフの方が常駐するホールを借り、ホールの力をお借りして舞台作りをしました。これまでは、会議室件音楽ホールや常駐スタッフ不在の小さな音楽ホールで活動をしてきたのですが、今回が地元メンバーの尽力によりいつもより大きな舞台に挑戦するはこびとなりました。
・稽古の中で大道具や照明を予算も含めて話し合い、自然と当日の舞台をイメージし、理想像を共有していくという作業をしていました。「せっかくならオシャレに、しかし予算は低く…etc」。限られた予算の中で何を取って何を捨てるか、妥協点を皆で話し合いました。
・本番を迎えるにあたっては、スタッフの方に本当に好意的に支えていただきました。「いい舞台を創りたい(ってあげたい)」という思いが現場に漂っていました。舞台スタッフの方々は演者にはない視点・思いを持っていてそれを伝えていただくことで、スタッフの方々と演者とのコミュニケーションが成立していました。こういうコミュニケーションが可能となったのは、事前にスタッフの方々と本当によい関係を作ってくれた地元メンバーの存在のおかげです。
・シンプルですが色々な動きが可能でかっこいい舞台、またシーンごとにとても効果的な照明を作っていただくことができました。
・「島根で歌い隊」という名前が語るように、メンバーのほとんどは県外で活動し研鑽を積んでいます。今回いらしていただいたお客様の中にはそういうメンバーを応援したい気持ちを持っていただいているのと同時に、一体どういうクオリティーの公演になるのかという厳しい視点・思いもあったと思います。歌い隊のメンバーとしては、松江・隠岐公演計約600人のお客様の期待に少しでも応えられるようにという思いがありました。また、地元の方、家族や友人に何かしらの感謝の気持ちを伝えたいという思いがありました。
・メンバーそれぞれが、それぞれの活動の中で経験を積み、少ない稽古回数の中でも共有するイメージの舞台を創るために各人が的確に経験を活かし、アイデアを出し合いました。
我々歌い手の仕事の大半は、よい歌を歌うことにあると思います。しかし、オペラは総合芸術。ビジュアルも非常に大切な要素になります。そのビジュアル(舞台装置、照明)を作るのは歌い手だけではかないません。一緒に舞台を創るメンバーの中での好意的な意思疎通の存在があり、またお客様の目とそれ答えようとする演者の思いがありました。
なにか、そういった一元的でない要素が有機的に関係しあって、一つの舞台の輝きが生まれるような気がします。
隠岐公演の後、念願叶って隠岐でのシーカヤックをしました。
島根最高!!!愛すべき故郷!!!!!