高校3年生の秋、第57回瀧廉太郎記念全日本高等学校声楽コンクールに出場しました。その会場であった竹田市文化会館が2012年の水害で使用できなくなったことがきっかけで、翌年から芸大のコンクール出場者で企画したkonzerto KOJOは、コンサートの収益金を竹田市に寄付し、ホール再建への思いをつなげてきました。
その文化会館が新たに生まれ変わり、本日2018年10月7日グランツ竹田としてオープンしました。落成記念の式典でkonzert KOJOの一員として、平川かえさん作曲のメドレーを演奏しました。
グランツ竹田は木の香りのするとても素敵なホールで、客席の天井の高さはオペラ劇場のようです。
竹田市は、1185年築城の岡城を抱き(2018年日本の城ランキング)、江戸時代にはザビエル上陸(1549年)の4年後からキリスト教の布教がはじまり、1584年にはドン・パウロの異名を持つ大友宗麟の孫・志賀親次が岡城主となったキリスト教布教の地でもありました。明治には瀧廉太郎が、幼少期と晩年に過ごし、岡城は《荒城の月》のインスピレーションの地であるとも言われています。
西洋文化たるキリスト教を受け入れた大名が治めた場所であるということを考えながら岡城址を歩くと、西洋音楽の技法を使って「完美(*1)」した日本の歌曲を創作しようとした瀧廉太郎の姿と重なり、時間を旅しているような不思議な気持ちになりました。
竹田にきていつも感じるのは町が生きていること。元気なこと。呼吸をしていること。
若いアーティストや伝統工芸の職人さんが移住してきたり、魅力的な商工会の方々がいたり、おいしくてお洒落なお店があったり。。
konzert KOJOをはじめコンサートでは町を上げて私たちの企画を応援してくださいます。
老舗御菓子屋の但馬屋さんも、音楽に造詣と理解が深く、コンサートのためにお店のホールを提供いただいたり、チャリティプロジェクトでは私たちがよい演奏ができるよう、いつもたくさんのご協力を頂いています。
竹田にはたくさんの魅力的な場所やお店がありますが、但馬屋さんはこの地の文化を象徴する存在だと思います。
古く伝統のあるお菓子を守りながら現代に合う形に展開されたり、これまでの常識を打ち破るようなお菓子を創ったり、美術館やアーティストとコラボレーションしたり・・・
そしてただ新しいことをするだけでなく、その創作に品位があり、いつも美味しい。
音楽で大切なものをお菓子の世界で体現していらっしゃるような気がします。
またいつか竹田の地で歌いたいです!
(*1)瀧廉太郎『合唱組曲 四季』「緒言」